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「脊柱の運動」実際の動きとは?

脊柱では個々の椎骨間での運動が積み重なって、脊柱全体としての屈曲、伸展、側屈、回旋が行われています。

生理的な脊柱のS字カーブ、椎骨の可動範囲には個人差があり、屈曲時には頸椎と腰椎の前弯が減少して、胸椎の後弯が増強します。一方、伸展時には頸椎と腰椎の前弯は増強して胸椎の後弯が減少します。

その運動には骨盤や股関節の動きを伴うために、脊柱の可動性を正確に評価することは困難とされています。

矢状面ではS字型の生理的な弯曲を示し、静止立位では頸椎前弯30~35°、胸椎後弯40°、腰椎前弯40°~45°を呈しています。このような脊柱の弯曲は直立歩行に適応する為と考えられており、衝撃を吸収するだけでなく、負荷の元でわずかにしなる弾性力を提供するが、弯曲が変化する部分には剪断力が生じやすいのも事実です。

腰椎は脊柱の運動で回転の中心として働くため、胸腰部を合わせた可動域で示すことが一般的で、胸腰部で45°屈曲、30°の伸展、左右に各50°の側屈、各40°の回旋が可能です。

椎間関節面の接触および荷重負荷は最大伸展位で最大となるが、そのような場合に周囲の関節包や靭帯が緊張する大部分の滑膜関節とは異なり、上位椎体の関節面が下方へ滑ることで関節包が弛緩する傾向にあります。

脊柱アライメント評価として、椎体の複合的な可動性を評価しなければいけませんが、高齢者など側弯を持っている方に対して、どの方向へ修正すればよいか自分自身も迷うところがたくさんあります。

脊柱側弯とは、前額面で脊柱が側方へ弯曲した状態を示し、椎骨自体の形状変化を伴わない機能的な側弯と構造的な側弯に区別されます。後者の70~80%は特発性側弯症でありますが、10歳以上の思春期に発症する症例が最も多いです。

脊柱側弯は立位で背部を観察することによりスクリーニングが可能であるため、チェックポイントを確認する必要があります。

①両肩の高さの左右差

②脇線(ウエストライン)の左右非対称

③両側肩甲骨の高さや位置の左右非対称

④前屈したときにみられる背中や腰の高さの左右非対称、また肋骨隆起、腰部隆起を確認する

また、レントゲンやCT画像から骨性のアライメントを確認することで、触診との整合性が高まるため、画像評価も必ず行う必要があります。また、胸腰椎の可動性と協調的な運動が可能であるかも、コンパートメント症候群を予防するためにも評価していく必要があります。