毎日更新 臨床経験からの考察
~疑問を分からないままにしない~
Uncategorized

レントゲン画像から腱板損傷を評価するには?

加齢により肩峰下インピンジメントや腱板機能不全から肩関節挙上が困難となり、整形外科でレントゲン画像(X線)検査をされることが多いと思います。

実際、腱板損傷の整形外科学的な評価は存在しますが、レントゲン画像所見も腱板損傷の参考になる為、自分自身も必ず確認するように心がけています。

まず、レントゲンによる肩関節の撮影法として2種類存在します。

ひとつが肩関節前後像、もう一つが肩関節斜位像と呼ばれます。

・肩関節前後像:

まず撮影したい肩関節(右)なら右向き40°、そして20°上方からの見下ろすように撮影する方法を肩関節前後像と呼びます。

この像は肩甲上腕関節の関節面を捉えることができ、肩甲窩の状態や肩甲上腕間の位置関係の把握が容易に評価できます。また、上腕骨頭部において、外旋位では大結節が、内旋位では小結節がよく観察できます。

・肩関節斜位像

斜位像は肩関節を正面から撮影する方法で、上腕骨と肩甲骨関節窩の重なりが半月の形に見えることが特徴です。

画像所見から、肩関節前後像において、肩甲骨外側縁をたどったカーブは上腕骨内側のカーブへとスムーズに繋がりますが、このカーブをMoloney’s arch(モロニーズサイン)と呼びます。

肩関節脱臼や腱板損傷では骨頭が挙上しアーチが乱れます。骨折がある場合は、骨頭が下制するような所見が観察されます。

肩甲骨と上腕骨の位置関係から、上腕骨頭が挙上位にあれば腱板筋群や三角巾の緊張が亢進していると考察され、上腕骨頭が下制するなら骨折や関節内圧が高まるような原因が存在すると考察できます。

また、腱板損傷の可能性があると上腕骨頭と肩峰との距離である、肩峰骨頭間距離(AHI)が6㎜以下になると言われているため、腱板損傷が疑われる場合に確認することを推奨します。