位置覚の障害による運動失調は、小脳の障害による場合とは若干の違いがあります。
位置覚が障害された場合は、確かに目を閉じるとふらふらしますが、目を開けて立位保持すると、ある程度ふらつきを抑えることができます。
視覚的な情報から、自身がふらついていると自覚することができるため、大脳皮質から運動神経に指令を出して、ふらつきを最小限に抑えることができるというわけです。
一方、運動の調節系である小脳が障害を受けた場合は、運動そのものの制御が障害されているため、大脳皮質からの指令が出ても、運動神経は制御が聞かない状態です。そのため、開眼もしくは閉眼していても、ふらつきの制御が効かないということになります。
このように、運動失調にしても、2種類存在します。これらの位置覚の障害による運動失調を脊髄性運動失調と呼ばれ、小脳障害による運動失調を小脳性運動失調と呼びます。
2種類を鑑別するためには、開眼と閉眼によるふらつきの差を観察することで鑑別可能となります。
開眼ではふらつきは少ないが、閉眼するとふらつくようであれば脊髄性と判断できます。これをロンベルグ徴候陽性と言います。
一方、小脳性では開眼時もふらつきが生じます。閉眼しても悪化することはなく、同様にふらつきます。これはロンベルグ徴候陰性です。
また、開眼と閉眼ともにふらつきが見られない場合は、もちろんロンベルグ徴候陰性です。健常人であれば陰性と判断できます。
これら評価は運動失調がある患者がいれば、これらの評価を行い、脊髄性障害か小脳失調かを判断する必要があります。