下腿の回旋異常について
下腿の回旋運動もしくは回旋肢位の定義づけは前提条件として困難である。
Q-angleによる評価は簡単だが、下腿の回旋のみを評価しているわけではない為、有用な評価とは言い難い。加えて、下腿が外旋していたとして、その原因は様々である。
例として、下腿内旋に作用する鵞足筋や腓腹筋内側頭、半膜様筋の収縮不全は下腿を内旋させることができない為、下腿の外旋を誘発する。
また、下腿の外旋に作用する大腿二頭筋や腓腹筋外側等の伸張性低下は、下腿を後外側に引くためか外旋位となりやすい。
さらに内反変形や靭帯損傷を基盤に膝関節屈曲拘縮が存在する場合は、不安定性と拘縮が重なるため、より複雑となってしまう。
そのため、回旋不安定性を細かく評価し、原因となる組織を鑑別する必要がある。
下腿の回旋異常が生じると
外旋を制動するために膝窩筋は過剰な収縮を強いられ、過緊張状態となる。
また、膝窩筋と同じく下腿外旋制動作用をもつ半膜様筋も、同様に過剰収縮となり過緊張となることが臨床場面から観察される。
そのため、膝窩筋や半膜様筋の関与を考慮して評価する必要がある。
Q-angleについて
背臥位もしくは立位で実施。
方法:上前腸骨棘~膝蓋骨中央を結ぶ線と、脛骨粗面~膝蓋骨中央を結ぶ線のさす角度を測定する
評価の意義として、下腿外旋位となると、脛骨粗面が外側に変位するため、Q-angleが増加する。