仙腸関節における特徴的な所見
仙腸関節障害は、同関節の著明な圧痛と下肢への放散痛が特徴的です。
仙腸関節障害は保存療法が第一選択であり、運動療法と仙腸関節ブロック注射との併用が治療成績として良いと報告されています。
また仙腸関節障害において鼠径部痛が生じることが特徴的です。鼠径部痛は他の腰臀部疾患において出現しにくいため、仙腸関節障害の特異的な症状であると言えます。
腰椎椎間関節症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など、他の疾患との合併率は約2~3割と報告されているため、下肢痛を訴えている症例を仙腸関節障害と断定するには注意が必要となります。
実際の治療選択
仙腸関節ブロックは、疼痛の軽減、消失そのものが診断材料となるとともに、疼痛軽減が運動療法を円滑に進める要因となるため、ブロック注射は重要な治療選択となります。
アプローチが可能な部位、筋肉として、仙腸関節痛を増強させる要因である後仙腸靭帯や腰部多裂筋が挙げられます。
・腰部多裂筋のリラクセーション:L2.3~後仙腸靭帯に付着する線維にアプローチ
・仙腸関節の他動運動:ニューテーション、カウンターニューテーション