体幹の前面、外側面に位置する筋肉には、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋が存在します。
これらの筋肉は、体幹に可動性と安定性をもたらす重要な筋群です。特に体幹の安定性を保持する能力は重要で、様々な身体活動に貢献しています。
腹筋の収縮は、腹腔内圧や胸腔内圧を増加させ、これにより荷物の持ち上げや咳、排便などの動作が可能になります。そして腰椎の固定を含む様々な日常生活動作での機能に有効です。
腹筋が両側性に収縮すると、胸骨の剣状突起と恥骨の距離が短くなります。これによって、胸部の屈曲や骨盤の後傾、または両方の現象が同時に起こります。
腹筋による骨盤後傾は重要な役割で、実際に骨盤後傾が出来ている際は、腹筋群の活動が十分に行われていると評価できる指標となります。実際に骨盤を後傾させながら行うテストとして、トーマステストとエリーテストが骨盤後傾させながら筋の伸張性を評価する必要があります。
腹筋群の働きが重要となるのは、上記で説明しましたが、体幹の屈曲、回旋、側屈などの複合運動が起こるためには、腹筋群が左右ともに協調して働くことが重要となります。
腹筋群で一番重要な筋肉として「腹横筋」が挙げられます。腹横筋は別名「コルセット筋」と呼ばれ、その作用として、腹腔内圧の増大があります。また、内腹斜筋と同様に、筋収縮によって胸腰筋膜を引き寄せます。その結果として、胸腰筋膜の緊張を高め、荷物などの持ち上げでの腰部の安定性を支持します。
腹筋群の役割としては重要であるが、ひとつひとつの筋群の収縮を評価するのが難しいのも事実です。触診と共に、動作一つ一つの代償を捉えることができれば弱化している筋肉を特定できる可能性もあるため、動作観察もセラピストに求められる能力となります。