よく高齢者で円背姿勢の患者様を運動指導、リハビリする場面が多くあると思います。実際、円背姿勢の患者様にどのようなアプローチをしていけばよいのか悩む場面があると思います。
自分が円背姿勢の患者様を診る際は、まず円背の原因が骨性による円背か、単に抗重力筋の弱化による円背なのかを判断しています。
もちろん正常な脊柱アライメントと筋活動が起きるのが、楽な立位姿勢をとれるのですが、高齢ということもあり簡単に姿勢修正ができないのが現状です。
脊柱の伸張性がある円背の方を、機能性円背と呼びますが、この円背患者に対して体幹筋や弱化した抗重力筋などの持久性を向上させるようなアプローチが必要になります。
機能性円背に関しては、比較的できることが多くあると個人的に感じていますが、伸びない脊柱=骨性の円背に対してはできることが限られてくるのも事実です。
しかし、骨性の円背患者に何もしないのはセラピストとしては勿体無いと思います。以前、脊柱管狭窄症について書かせていただいた、「pumping effectの低下」ですが、脊柱柔軟性の低下から、腰椎自体の前弯・後弯方向への可動が少なくなります。これによる、脊柱周りの筋収縮によるポンプ作用低下から、腰痛などを引き起こしてしまいます。
脊柱自体の可動性が少しでも残存しているのならば、動く範囲での腰椎前弯、後弯の動きをセラピスト側が出してあげるようなアプローチをしていく必要があります。
言い換えると、円背姿勢を治すより、まずは脊柱柔軟性が保たれるようなアプローチが最優先ということです。生活様式やADL動作などは個人で全く違うものであり、実際介入すると思うようにいかない場面に何回も遭遇しています。患者一人一人の脊柱の動きを見れるようになると、その人に合わせた動作指導や姿勢改善を図れるのではないかと思います。