静止立位から身体を床に向かって前方へ屈曲させるには、股関節や腰背部の筋の伸張性と軟部組織の重要性が必要となります。
実際に症例を床に向かって前屈させると、様々な代償動作がみられる場合が多く観察されます。
正常な腰椎と股関節屈曲が起こる場合は少なく、脊柱のどの部位に股関節の屈曲がどれくらい起きているのかをセラピスト側が原因を探していく必要があります。
大きく分けて動作が3パターン観察されます。
①正常な腰椎と股関節屈曲が起こり、床へ手がつくパターン
②股関節屈曲制限を伴う腰椎の過屈曲パターン
③腰椎屈曲制限を伴う股関節過屈曲パターン
上記3つのパターンが主要な前屈姿勢となります。
②、③の代償は臨床においてよく観察されますが、制限因子として②はハムストリングスの伸張性低下、③は腰背部の柔軟性低下が挙げられます。
このように身体の一部に異常がある場合は、隣接関節や他の部位に代償が要求されます。代償が強いと伸張ストレスや軟部組織の損傷など様々な要因が起こる可能性があるため、セラピストは動作から推察される動作阻害因子を常に考察していく必要があります。
動作観察から、評価➡原因へのアプローチ➡評価というサイクルは常に行っていくことが重要となります。
今回は前屈動作のみに注目しましたが、起居動作や起立、着座、歩行動作など様々な要因が積み重なり動作パターンが完成するため、動作を個々の構成要素に分けていくことが重要です。