呼吸運動は胸郭の拡大・縮小と横隔膜の移動に行われます。この運動は主に、肋間筋と横隔膜により、行われており、これらは呼吸筋と呼ばれ、吸気筋と呼気筋に分類されます。
・吸気筋の働き
吸気筋として、横隔膜、外肋間筋、内肋間筋があります。
最も大切な吸気筋である横隔膜は膜状の横紋筋です。横隔膜は胸腔に向かってドーム状に盛り上がり、その前部は第6肋骨の高さで、後部は第10肋骨の高さにあります。
吸気時にはドームが平坦化し、腹腔方向にピストン運動することで胸腔内の陰圧を作ります。その結果、肺の下縁では安静吸気時で約1~2cm、深呼吸時には3~5cm上下に移動します。そして、安静時呼吸の70%は横隔膜で行われます。
・呼気筋の働き
呼気筋として内肋間筋後部があります。しかし、安静呼気時には呼気筋の働き自体は少なく、吸気時に行われた胸郭の変形が弾性収縮力により、復元することで胸腔内圧と気道内圧が高まり、受動的に呼気が起こります。
強制呼気時は内肋間筋が働き、胸郭の左右径、前後径は小さくなり、さらに腹圧により横隔膜が押し上げられ呼気が起こります。
このほかに、深呼気時には腹筋群である内・外腹斜筋・腹横筋・腹直筋が腹圧を高め、横隔膜をさらに挙上させます。