正常な歩行パターンからの逸脱は症例においてよく観察されますが、そのなかでも多く見られる初期接地にフォーカスを当てて考察していきます。
初期接地の異常としては、底屈位での踵接地、足底での全面接地、前足部での接地などが観察されます。
足関節背屈筋が弱いと、踵接地後に足関節が急激に底屈して全足部が接地します。背屈筋群の筋力低下により下腿の前方移動も十分に行われず、結果として膝関節屈曲も小さくなります。
足底前面での初期接地は、足関節の可動性の有無によって3つの異なるパターンを呈します。
足関節の可動性が保たれている場合は、荷重開始と同時に踵が素早く床に接地します。一方で、可動域制限がある場合には、踵が床に接地せず、踵が浮いた状態もしくは踵が床に押し付けられて膝関節が急激に過伸展します。
初期接地における各関節の逸脱所見は様々ですが、足関節だけでも上記のような所見が観察されます。初見での逸脱動作を判断することは難しいため、正常な歩行パターンとどの部位がどの動きをしているかをまずは把握することが重要だと個人的には考えています。