運動療法の意味
糖尿病治療としての運動の継続は、インスリン抵抗性の改善を通して、血糖値の是正と合併症予防、健康維持を目的とした治療手段となります。
運動療法は食事療法とともに生活習慣の改善に重要であり、薬物療法とあわせて治療の3本柱と言われています。
運動療法の効果
①エネルギー消費の増加による高血糖、肥満の是正
②インスリン感受性の改善
③高血圧、脂質異常症の改善
④心肺機能向上
⑤精神的な健康維持
⑥認知機能低下の予防
代謝調節が良好に維持されている場合、筋におけるブドウ糖、遊離脂肪酸の利用促進が起こり、運動後血糖値は低下します。これを運動の急性効果と呼びます。
低強度の運動においても長期間継続することで、2型糖尿病で低下しているインスリン抵抗性を改善することができます。
運動の種類
運動の種類として、歩行、ジョギング、水泳、自転車などの有酸素運動が効果的です。
筋力・筋量を増加させるレジスタンス運動は基礎代謝量の維持、増加や、関節疾患の予防など、高齢患者には特に有効的です。しかし、力みを伴う運動は血管に負荷がかかるため、控えることが重要となります。
レジスタンス運動として立位で膝の屈伸を行うスクワットやゴムチューブ、重錘バンドを使用した運動が挙げられます。
有酸素運動とレジスタンス運動の併用が、それぞれ単独の運動と比較してHbA1cが最も低下すると報告されています。