日常生活の中でADL動作は肘関節屈曲位での動作がほとんどです。実際に肘を曲げないと整髪や食事など様々な障害が起こります。
可動域制限の要因として、変形性肘関節症が挙げられます。また、2つに分類され肘関節を酷使する仕事やスポーツによる非外傷性の変形性肘関節症と、肘関節周囲の骨折や脱臼による外傷後の変形性肘関節症があります。
よく見られる関節症変化は、鉤状突起や肘頭の骨棘形成が形成され、骨棘が増大すると関節可動域制限や疼痛の原因となります。
進行すると尺側指の痺れや知覚障害、尺骨神経支配領域の筋力低下や肘部管症候群を合併することも多いです。
肘関節の屈曲、伸展には腕尺関節と腕橈関節が関係しています。正常な可動域は屈曲145°、伸展10°ですが、主な日常生活に必要とされる可動域は30°~130°です。
腕橈関節では橈骨頭が上腕骨小頭に対して凹の法則で動き、屈曲時には橈骨頭が上腕骨小頭に対して前方に転がり、滑り運動が起こり、伸展時には後方に転がり、滑り運動が起こります。
腕尺関節では尺骨の滑車切痕が上腕骨滑車に対して凹の法則で動きます。屈曲時に、滑車切痕が滑車関節面に対して前方に転がり、滑り運動が起こります。伸展時には、後方に転がり、滑り運動が起こります。
肘屈曲に作用する筋は、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋です。これらの筋は肘の回転軸の前方を通過する作用線であります。円回内筋は第二の肘屈筋と考えられます。これらの4つの筋のうち3つの筋で、前弯を回内もしくは回外させる機能があります。
橈骨に呈する肘屈筋もまた、前腕を回内もしくは回外することに注意しなければいけません。
それぞれの筋は特徴的な作用を有し、肘屈筋のMMTや最大伸張テストの際に上記のような配慮が必要となります。