腰背部の筋および胸腰筋膜には、常に伸張ストレスがかかっている状態です。
伸張ストレスの増加は、筋内圧の上昇を引き起こし、疼痛の原因となります。
胸腰椎に存在する固有背筋群には内側群と外側群の2種類に分類されます。外側群は、椎体間を多分節にかけ走行しているため、脊柱の大きな運動を可能にします。
固有背筋外側群には、最長筋と腸肋筋が存在します。これらの筋肉は脊柱の伸展と回旋を行うのに優れています。
固有内側群も脊柱の伸展作用を有しますが、伸展モーメントの約8割は外側群が働いています。この伸展モーメントにより、抗重力姿勢による伸張ストレスを支えることができています。
不良姿勢や過度な仕事、スポーツなどによる腰背部への伸張ストレス増加から、固有背筋群への過緊張を引き起こし、筋の柔軟性低下を惹起することも多いです。
筋の走行から、最長筋は伸展運動を得意とし、伸展・回旋動作は腸肋筋が作用としては大きいです。それぞれの得意とする動作を実際に行うことで、筋の触診が触れやすくなり、左右差を確認しやすくなります。