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腱板損傷の原因と症状とは?

腱板損傷とは、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋からなる腱板筋(ローテーターカフ)の上腕骨頭周囲付着部周辺での損傷を指しています。

よく腱板断裂と腱板損傷と呼ばれていますが、文献などを読んでいても大まかな違いは述べられていないため、同じくくりとして理解してもよいのではないでしょうか。

レントゲン画像から腱板損傷しているかの評価は前回のブログで書かせていただきましたが、石灰化や骨棘の有無と肩峰骨頭間距離(AHI)が6㎜以下となっていないかを判断することが重要となります。

また、MRIでは断裂の有無や脂肪浸潤の程度を確認すること、エコー画像では腱板損傷部位や炎症の状態を確認することが必要となります。

実際に腱板損傷していても疼痛が出現せずに日常生活を過ごしている症例も多く存在し、発症要因としても多彩であり、明らかな外傷や加齢に伴う腱板変性、肩峰下インピンジメントによる二次性の変化などが原因として考えられます。

整形外科を受診され、腱板損傷と診断された症例の主な症状として、肩関節挙上困難と疼痛、特に夜間痛を訴える症例が多い印象です。急性期では安静にすることが重要であり、炎症を起こしている場合は冷やすことも優先して行う治療方法です。

腱板損傷は腱板筋群のなかでも、棘上筋断裂が最も多いと言われています。これは、上肢挙上時に肩峰下と大結節の間に棘上筋が挟まれる、いわゆるインピンジメントから棘上筋の摩耗が何年にもわたりストレスを受けた結果の断裂と考えられています。

棘上筋の断裂はほとんどの場合は保存療法にて経過をみることが多いですが、日常生活に支障をきたす場合や肩関節挙上が難しい場合はリハビリテーションによる残存腱板機能の回復や肩甲胸郭関節、体幹、下肢などで代償することが求められます。

棘上筋の断裂がある場合は、整形外科テストである棘上筋テスト(SSP)で陽性となる場合が多いため、一度評価してみることを推奨します。