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腸腰筋短縮の評価、トーマステストの意義とは?

腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋で構成されています。起始・停止は以下の通りです。

・腸骨筋の起始:腸骨窩

・大腰筋の起始:T12~L5の各椎体、腰椎肋骨突起

・腸骨筋、大腰筋の停止:小転子

腸腰筋の作用は主に2つです。

①体幹と骨盤が固定された状態で腸腰筋が作用した場合:股関節屈曲に作用

②大腿が固定された腸腰筋が作用した場合:腰椎の前弯、骨盤前傾運動に作用

腸腰筋の短縮を評価する場合は、伸張性低下が各分節にどのように作用するかを考えることが大切です。

腸腰筋の短縮がある症例を評価する場合には、背臥位で寝ている姿勢に注目します。症例が背臥位を取った際、腰椎前弯の程度を評価することが必要です。背臥位で下肢を伸ばそうとすると、短縮がある場合腸腰筋自体に伸展位を取るための伸張性がありません。その場合、腸腰筋は大腿に強く引っ張られる為、骨盤前弯強制と共に腰椎の過度な前弯が出現します。

通常は背臥位にて腰椎前弯し、ベッドとの隙間に手のひら一つ分が入る程度です。下肢伸展時に、大腿に腸腰筋が引っ張られると過度の腰椎前弯が強制されるため、腰椎とベッドとの間に隙間が大きくなります。

トーマステスト自体は、背臥位にて非検査側の下肢を屈曲させ、骨盤後傾位にもっていくことで、検査側の腸腰筋の伸張性があるかを確認することです。検査側の股関節が屈曲すると、腸腰筋の短縮ありとなり検査自体が陽性と判断します。

これら、トーマステストによる股関節屈曲現象も、背臥位での過度な腰椎前弯も同じ意味であるため、視診・触診にてどちらかの方法を確認すると腸腰筋の短縮が判断できると思います。

実際の臨床場面での腸腰筋短縮が予想される姿勢があります。

立位姿勢で、体幹は前方へ変位し、腰椎は過度に前弯し、膝関節も軽度屈曲位を呈している場合は、一度トーマステストを実施して、短縮の程度を確認する意味があると思います。

ぜひ一度活用してみてください。