起居動作や歩行時の動作観察や動作を阻害している部位を特定するには、仮説と検証を繰り返す必要があります。実際の症例の動作観察を行い、セラピストの誘導する動作に対しての反応を確認して、動作阻害する要因を探っていきます。
~起居動作時の頭頚部コントロールが不良な症例について~
・後頭下筋群の緊張の評価
症例を背臥位に寝かせ、セラピストが他動的に頭部を屈曲させていく。その際、上位頸椎を屈曲させるように操作して、後頭下筋群を伸張させる。この時に、頭部の重み以外に抵抗感を感じた場合は、後頭下筋群が過剰収縮しているもしくは短縮している可能性があります。
・頸部深層筋、屈筋の評価
症例を背臥位に寝かせ、セラピストの手を患者の後頭部に手を入れ、頭部に向かってベッド上を滑らせるように顎を引きます。この時に、セラピストの手を頭部に移動させますが、症例頭部の抵抗感を感じる場合には、頸部深層屈曲筋群の機能不全や後頭下筋群の過剰収縮が可能性としてあります
・頸部深層筋、屈筋の筋力評価
症例に自身で床から頭部を持ち上げ、頸部の屈曲の状態を評価していきます。正常であれば、円滑に安定した状態で頸部が屈曲していきます。しかし、屈筋群の機能不全や筋力低下がある症例においては、以下のような現象が観察されます。
➡床から頭部を持ち上げれない場合
➡下位頸椎の屈曲のみで頭部を持ち上げ顎が突き出る場合
以上のような移乗動作や動作を1つずつに分けて評価していくことで、どの動作相で動作が阻害されているのかがわかります。観察だけではわからない部分が触診で確認できるために意識して触れるようにしましょう。