高齢者の円背や健常者の姿勢不良の一つとして頭部の前方突出がよく観察されます。
これは、デスクワークやスマホを触る時に自然と頭部が前方の位置に移動し、保持するため不良姿勢となります。また、頭部の突き出しによって、下位頸椎は屈曲し、上位頸椎は伸展します。
この不良姿勢が長時間続くと、上位頸椎の筋や靭帯が短縮し、この部分の骨構造が接近した状態になり、頸椎や胸椎への二次的な問題が生じてきます。
この頭部前方突出の治療の一つとして、顎を引くことが有用であると考えています。
顎を引くことで、頭部を後方へ引き付けることに繋がり、下位頸椎の伸展と上位頸椎の屈曲して、頭部の前方突出は改善されます。
顎を引くことは意識的に継続していかないと頭部前方突出は改善されてきません。より効率よく姿勢改善、頭部前方突出を直していくためには、鏡による視覚的なフィードバックが重要です。
長年の姿勢は自身が思っているより、脊柱の動きが乏しく、頸椎の前方突出自体も動きとして少ない印象を受けます。
外来患者は自宅での自主トレ指導が何より重要であるため、この顎を引く運動を定期的に行うことによって、頭部前方突出が改善されてくることが多いです。