腰椎すべり症は「anterior spondylolisthesis」と呼ばれ、ある椎体が一つ下位の椎体に対して、前方へ変位している状態です。
この変位は、腰仙関節部分L5ーS1で好発部位となる。椎間関節部の骨折が原因となって発症することが多いとされています。
腰椎すべり症の重症例では、腰仙移行部を通る馬尾神経を損傷するため、リスクが大きい疾患と言われています。
実際すべり症と診断された場合の禁忌として、腰椎を最大伸展するような運動がリスクとされているため、骨盤前傾方向へのコントロールも腰椎を伸展させるため、注意が必要です。
このような運動や姿勢は、仙骨の水平面に対する角度を増加させるため、L5が仙骨の椎間関節上をさらに前方へ滑りやすくさせます。また、先ほど述べたように馬尾神経が通過する脊柱管をより圧迫させるようになります。
すべり症と診断され、実際に運動療法や自主トレーニングを指導する場合には、画像および臨床症状から鑑別することが重要となります。
運動療法は機能学的な要因にアプローチしていくものであるため、股関節周囲筋の伸張性や可動域、腰椎後弯・前弯の可動性とアライメントが優先して介入していかなければいけません。
実際の神経症状や椎体自体を元の位置に修復することは難しいため、セラピストが機能的な要因を改善し、臨床症状がどこまで変化するのか、改善がみられるのかを評価していくことが必要となります。