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頸部痛のメカニズムとは?

頸部痛は非常に多く見られる症状であり、臨床において症例からの訴えが必ずと言ってよいほど経験しています。頸部痛には様々な原因があり、その症状も多岐に渡ります。

頸部痛にも関与する組織ごとにメカニズムが異なるため、筋・筋膜性疼痛についてのメカニズムを述べていきます。

筋膜性疼痛は、痛みが出現している筋、筋膜に圧痛が生じているため、その部位を触診すると筋硬結(筋スパズム)が確認出来ます。

筋のトリガーポイントとよく呼ばれますが、頸部周囲筋では後頭下筋群、僧帽筋上部線維、肩甲挙筋に筋硬結がよく出現します。

頸部の筋は、頭部の重量を支えるために姿勢による変化から影響を受けやすい部位です。特に頭部前方位姿勢となると、頭部の重さを支えるために頸部後面や背部の筋活動が高まります。

後頭下筋群は頭部前方位姿勢によって上位頸椎が伸展位で保持されるために短縮しやすい状態です。このような姿勢をとり続けると、筋硬結が起こってしまいます。

パソコンやスマートフォンを使用することで、頸部屈曲位を長時間保持することとなるため、頸部後面や背部の筋に負荷が増加し、疼痛誘発されることが多いです。

頭部前方位は頸部や頭部のみで起こるものではなく、胸椎の後弯増強から結果として生じている場合もあります。胸椎後弯増強すると、肩甲骨は外転し前傾のアライメントを呈することが多いです。

先ほど述べた、筋硬結が生じやすい僧帽筋上部線維や肩甲挙筋が胸椎後弯位によって活動量が増加する可能性があります。

また上肢運動に伴う肩甲骨の運動パターンも頸部筋の活動に影響を与えます。肩甲骨の上方回旋を起こす、僧帽筋下部線維や前鋸筋の活動が弱いと、代償的に僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の筋活動は増加します。

頸部痛を有する症例では、頭長筋や頸長筋のような頸部深層筋の活動低下や胸鎖乳突筋や斜角筋のような表層の筋活動増加がよく観察されます。

頸部周囲筋のインバランスが生じると痛みを生じやすくなるため、筋インバランスとならないような頭部アライメントを確保していくことが必要となります。