加齢による腰椎前弯が消失した症例において、腰椎後弯位から腰部伸筋内圧が上昇し、腰背部痛を引き起こすことがあります。
生理的な腰椎前弯が消失する原因として、加齢によるものと前屈姿勢の仕事を長年続けていることが要因となることが多いです。その他、腰椎すべり症、圧迫骨折、脊柱伸筋群の萎縮なども挙げられます。
腰椎後弯症の臨床症状として、歩行に伴う腰背部痛みが主症状です。歩行距離の増大にて痛みの増悪がみられますが、安静にすることで症状が軽減する間欠性腰痛が認められます。同じような症状として、脊柱管狭窄症による間欠性跛行がありますが、腰椎後弯症では下肢症状がみられないのが特徴です。
矢状面上でのアライメントが著しく後弯化することが特徴です。徐々に胸腰椎移行部は後弯化し、最終的には脊柱全体が後弯化していきます。また、頭部前方位となるとより腰椎が屈曲方向へのアライメントを呈しやすくなるため、どれだけ頭部前方位を予防し、腰部伸筋内圧の上昇を抑えていくかが重要となってきます。
腰椎後弯変形した脊柱アライメントを正常な前弯位に修正することは正直難しいと言われています。そのため、頭部重心の前方変位をできり限り抑えることが重要となります。実際の動作の中で、腰椎前弯位と仙骨前傾位に誘導できるようなアシストと運動指導が必要です。
また、腰部伸筋群である胸腰筋膜の柔軟性が低下していると、筋内圧が上昇しやすくなるため、脊柱起立筋の柔軟性確保も優先順位としては高いと考えられます。
実際の運動療法指導として、脊柱起立筋(胸腰筋膜)のストレッチ、端坐位下で介助者が骨盤を前傾方向へ徒手で誘導しながら上肢挙上と体幹伸展を同時に行うことが優先的に行うべき運動療法ではないかと考えます。
また、自身の腰椎の動きが確認できるように鏡による姿勢フィードバックが臨床場面でも個人的に有効であると思います。一度、症例の脊柱アライメントを確認しながら、介入してみてはいかがでしょうか。