距骨下関節は、足部の後ろに位置しています。この関節は距骨下面と距骨上面からなり、この関節は特殊な形状をしているため、足部と下腿の間において、前額面と水平面の動きが可能となります。
そのため、距骨下関節は歩行または走行中に、足を不整地に適応させる際や、急な方向転換を行う際に必要となります。
セラピストが距骨下関節の動きを評価するためには、踵を把持して、側方に動かすと同時に回転させるように、ねじる動きを与えると実際の距骨下関節の可動性を評価することができます。
距骨下関節の運動は、足部が地面を離れる際のような、固定された距骨の下の踵骨の動きも含みます。しかし、実際には、踵骨が地面に固定される立脚相の体重支持期に距骨下関節は機能しています。
これは、距骨がほぞ穴の中でしっかりと安定することによって生じます。そのため、距骨下関節の動きは、固定された踵骨に対する距骨と下腿の組み合わせの運動として表されることが多いです。
距骨下関節の運動は、固定下(立脚期)か自由度が高い状態であるか(遊脚期)の2種類の運動が存在します。
遊脚相での踵骨が自由な状態か、あるいは立脚相での地面に設置した状態での2種類です。
立脚相では、下腿と距骨は固定された踵骨の上で、一つの機械的な構成単位として動きます。立脚相で接地する際に、水平面と前額面において、下腿と距骨のわずかな回転が自然に起こります。仮に、距骨下関節がゆるんだ場合は、下肢の回転に従って、下腿、距骨、踵骨は連動して運動することになります。
最初の論点である、バランス保持のための距骨下関節の重要性についてですが、実際に距骨下関節の動きがなければ、不整地歩行やバランス不良を起こし、足関節と足部への負担が過剰になり損傷を起こすリスクが高いです。
距骨下関節の動きを確認し、可動性改善することでバランス保持機能が改善する症例も少なくありません。動作阻害因子としての足部の可動性を常に意識しながら介入することを推奨します。