セラピストが身体機能を評価するために必要な徒手筋力評価が必要不可欠です。
しかし、筋群が弱化した場合、その筋群の中のどの筋が原因なのかを見極めることが臨床上重要となります。股関節の伸筋群を評価する場合を考えていきます。
これらの筋の形態や機能を理解していれば、徒手筋力検査として知られる手技により、同じ作用をする複数の筋の中で、特定の筋を同定することができます。
●股関節伸展筋群の筋力評価
患者を腹臥位とし、膝関節を伸展位としたまま最大の努力をして股関節を伸展します。セラピストは、この運動に対して徒手で抵抗をかけて、その筋力に適切な筋力の段階を評価します。筋力が弱い場合は、股関節伸展筋群全体の筋力低下として示されます。
●大殿筋の筋力評価
患者を腹臥位とし、膝関節を屈曲位のまま、最大に努力させて股関節を伸展します。セラピストは、徒手で抵抗をかけて大殿筋のみ筋力評価することができます。
膝関節屈曲と股関節伸展の姿勢は、二関節筋であるハムストリングスを過剰に短縮させるため、ハムストリングスから発生する筋力が弱化します。これは、大殿筋だけを評価するために、ハムストリングスの影響から大殿筋を分離させたと考えられます。
そのため、この検査で示される筋力低下は大殿筋のみの筋力評価ができると考察できます。