腱板損傷の診断には腱板筋の筋力低下と痛みに関する検査が用いられます。
最も一般的に使用されるのは棘上筋の筋力と収縮時痛を検査するempty canテストであり、その正確性は研究によってばらつきが大きく、その検査単独では腱板損傷の診断は難しいです。
腱板筋の筋力に関する検査は全体的に特異度が高く、損傷がなくても検査陽性となる確率は低いが、感度は十分に高いとは言えない検査です。
またよく用いられるインピンジメント徴候は断裂の有無を検査するものではないため特異度が低く、断裂がなくても陽性となる確率が高いです。しかし、部分断裂の診断に関しては有用かもしれません。
腱板筋力に関する検査とインピンジメント徴候は単独で使用するより組み合わせて使用すると感度が高くなり、断裂を検出しやすいです。
現在までの報告は対象の違いや腱じゃの熟練度など影響する因子が統一されていないためシステマティックレビューによって結論づけることは難しいです。
今後はこれらの影響する因子を統一した研究がでること、そして検査技術や対象を見極める能力を洗練することによって、診断能力を向上させていくことが課題として挙げられます。