仙腸関節自体は靭帯で強固な構造を呈しているが、靭帯以外に筋が影響し安定性を保持しています。
また、仙腸関節が安定している状態と不安定な状態それぞれに名称があります。
仙腸関節の安定化メカニズムとして、form closureとforce closureがあります。
form closureとは、静的安定化機構で骨や靭帯による支持を指します。座位や立位場面での抗重力姿勢、いわゆる仙骨に荷重がかかっている状態では、仙骨には前傾方向への力が加わります。仙骨が前傾することで、腸骨間にはまり込み、仙腸関節の安定性が高まります。
仙骨の前傾をニューテーションと呼びます。
force closureとは、動的安定化機構で筋や筋膜による支持を指します。force closureでは、腹横筋や内腹斜筋、固有背筋、股関節伸筋群が重要と考えられており、これらの安定性が低下するとニューテーションと逆となり、仙骨後傾が出現します。これをカウンターニューテーションと呼びます。
カウンターニューテーション（仙骨後傾）では、仙腸関節への剪断ストレスがかかるため、疼痛が出現すると考えられています。この剪断ストレスの評価では、ゲンスレンテストが同様の現象を利用しています。
しかし、仙腸関節の安定性を十分に評価できるようなバッテリーは確立されていないため、個人による経験測や股関節周囲筋や腰背部の柔軟性が保たれているか、出力ができているかなどを合わせて考えていかなければなりません。
