股関節伸展筋の筋力低下について
股関節伸展筋として大殿筋、ハムストリングス、大内転筋が存在します。
特に大殿筋は重要な筋の一つで、歩行において踵接地から強く活動します。歩行以外では座位において、大殿筋の収縮で骨盤の位置調整を行うなど、身体重心の制御の要となっています。
実際に筋力低下が存在するかを評価する上で、立位姿勢の保持や片脚立位姿勢で大殿筋の収縮が見られるかを確認し、治療に進んでいく必要があります。
大殿筋の触診では、各筋束の収縮があるかも触診していく技術が重要となります。
臨床場面では、大殿筋の筋力低下が認められる症例において、代償としてハムストリングスや大内転筋が過活動になっている場合がよく観察されます。
大殿筋の出力評価とともに、ハムストリングス、大内転筋の代償が行われているか、過活動となっていないかを合わせて確認すると治療の選択の幅が広がると思います。
股関節可動域制限が存在する場合
股関節の正常な可動域を獲得する上で重要となるのが、股関節求心位での関節運動ができていることが挙げられます。
股関節求心位を保つ要素として、外旋六筋があります。外旋六筋は股関節軸の近くを通過するため、外旋六筋の発揮が十分に行えれば、安定した股関節運動が可能となります。
外旋六筋の伸張性、出力低下は股関節の求心性低下を招き、大腿骨頭の正常な運動を阻害する原因となります。
外旋六筋自体は股関節深層に存在し、触診することが難しいと言われていますが、ランドマークと筋走を確認した上で症例数をこなすことで、正確な触診技術を得られると感じています。