大腿四頭筋のなかでも、膝蓋骨の安定化に必要なのが、内側広筋と外側広筋のバランス、協調性が重要となります。しかし、内側・外側広筋それぞれの筋力検査(MMT)を個別で測定する方法が現在ありません。
筋力検査では、一般的に徒手筋力検査法(MMT)を用いて行っていきます。
MMTを測定する際に注意することとして、膝関節伸展位で抵抗をかけるbreak testでは、伸展位の筋力しか反映していないという点が問題となります。
日常生活動作や運動を行う際には膝関節屈曲位での保持が可能であるかが重要となります。その際に、大腿四頭筋の筋力が必要となります。
内側広筋
起始:長頭)大腿骨粗線内側唇
短頭)広筋内転筋板
停止:膝蓋骨を介して脛骨粗面
支配神経:大腿神経
作用:膝関節伸展
外側広筋
起始:大腿骨粗線外側唇、大転子の後面および下面
停止:膝蓋骨を介して脛骨粗面
支配神経:大腿神経
作用:膝関節伸展
大腿四頭筋に対する運動療法
大腿四頭筋の筋力低下、特に内側広筋の筋力低下が著明な場合、膝関節屈曲位から強い負荷をかけて膝伸展運動を行うと、膝蓋大腿関節への強いストレスが加わってしまうため、負荷調整が必要となります。
負荷を考慮して運動療法を実施するには、クアドセッティングが有効となる選択肢の一つです。
等尺性収縮を用いた筋力増強訓練であるため、痛みを誘発させにくいことが特徴であり、セラピストによる再現性が高いものとされています。
内側広筋を働かせるために、クアドセッティングを行いますが、症例によって股関節肢位、角度の違いから収縮が優位となる筋肉が異なるため、内側広筋に収縮が入りやすい肢位を見つけていく必要があります。
触診技術が求められますが、症例数を増やしていくと筋収縮の順序や筋ボリュームも違いが見分けれるようになると思います。