中殿筋は、小殿筋、大腿筋膜張筋と共同して働き、股関節外転筋の主動作筋です。よく注目されるのが中殿筋ですが、股関節外転筋に出力低下がみられた場合に、見ておかないといけない筋肉が小殿筋です。
中殿筋と小殿筋がforce coupleとして共同して機能しているかを検討することが重要となります。
歩行時に股関節外転筋力が低下していると、トレンデレンブルグ歩行やデュシャンヌ歩行となります。
トレンデレンブルグ歩行とは、歩行時の立脚中期において立脚期の股関節外転トルクの低下が影響し、遊脚側へ股関節が下制する現象のことを呼びます。文献によると、歩行中の痛みを減少させるために、骨盤を立脚期側に傾けることがあると報告されてます。
これは、股関節を外転位とすることで骨頭の被覆率を上げて、股関節の安定性を向上させようとする代償動作であると言えます。この代償歩行をデュシャンヌ歩行呼びます。つまり、デュシャンヌ歩行では骨盤沈下を体幹傾斜によって代償することが可能であり、トレンデレンブルグ歩行では遊脚側へ骨盤が傾斜することから、両代償歩行間で体幹側屈可動域に差が出ているか確認する必要があります。
そしてforce couple作用ですが、中殿筋を安定させて収縮させるには、小殿筋による大腿骨頭の求心位保持作用が必要になります。中殿筋の出力が上がってきていても、代償の強い歩行形態をしているのならば、一度立ち止まって、小殿筋の収縮を確認する必要がありますね。
加えて、大腿骨頭の求心位を保つ組織として外旋六筋の働きも重要となります。触診による触り分けは難しいですが、収縮させるような姿勢と動作指導が必ず必要です。