よく皮質脊髄路という言葉を脳血管分野で耳にすると思いますが、実際の伝導路や役割を詳細に説明するのは難しいと思います。
皮質脊髄路とは簡単に言うと、大脳皮質と脊髄を結ぶ伝導路です。
上位運動ニューロンは、大脳皮質の前頭葉から始まり、内包後脚を通り、脳幹では、中脳の大脳脚、橋縦束を経て延髄錐体を通ります。
脊髄へ向かう線維である皮質脊髄路の75~90%が延髄下部の錐体の錐体交叉という場所で交叉し、反対側の脊髄側索を下行し前角細胞に終わります。皮質脊髄路の脊髄部分は反対側の脊髄側索を通るため、外側皮質脊髄路と呼ばれることもあります。
交叉しない線維は同側の脊髄前索を下行するため、脊髄を出る直前に反対側の前角細胞に終わるため、最終的には、すべて大脳皮質とは反対側の脊髄前角細胞に終わります。
このように、錐体で交叉しない線維の伝導路は脊髄前索を通るため、前皮質脊髄路と呼ばれます。
皮質脊髄路は、胸椎上端部で消失するため、外側皮質脊髄路の説明がされている参考書がほとんどです。
上位運動ニューロンは、大脳皮質から始まり、脊髄に終わります。
錐体外路は錐体路や小脳系以外の運動機能を制御する伝導路と思われていますが、錐体外路についても今後発信していこうと思います。