・CE角(center-edge angle)について
大腿骨頭中心から臼蓋を結んだ線と大腿骨頭中心の垂線でを結んだ角度を指します。
健常人では25~35°が正常であり、20°以下が臼蓋形成不全と言われています。
実際に計測し、CE角が減少すると、大腿骨頭に対する単位面積あたりの荷重量が増大し、大腿骨頭の扁平化をきたる要因のひとつとなります。
また、変形性股関節症の進行に繋がり、進行に伴う股関節痛みの増悪が考えられます。
CE角の増大は、大腿骨と寛骨臼のインピンジメントが生じやすく、関節唇損傷をきたし、疼痛や股関節屈曲と内旋可動域低下の要因となることも考えられます。
・sharp角について
sharp角とは、左右の涙痕下端を結んだ線と臼蓋と涙痕下端を結んだ線とがなす角度を指します。
正常では33~38°であり、45°以上は臼蓋形成不全と言われています。
臼蓋形成不全では、荷重時に臼蓋に対して大腿骨頭が外上方へ移動しやすく、過剰な骨頭応力がさらに変形へと移行しやすい力学的要因となります。
進行するにつれて、大腿骨頭の扁平化と、股関節外転筋のトルクが減少する構造学的変化も生じてしまいます。
臼蓋形成不全では、骨盤前傾と腰椎前弯が増強し、骨頭被覆率を代償して増加させ安定させようとします。すると、股関節の屈曲や内旋制限が増強するため、日常生活動作に支障をきたすことも考えられます。
変形性股関節症と診断されていなくても、X線画像を確認しつつ、実際の股関節可動域と合わせて骨頭と臼蓋のインピンジメントが生じていないか、股関節副運動が正常通り行われているかを確認することが重要となります。
CTで骨の状態を詳細に確認することも可能となるため、必要に応じて画像を照らし合わせながら症状と症例に対しての日常生活指導を行うことを推奨します。